イスパニア語ブログ

FILOLOGÍA ESPAÑOLA

Correo de negocios

普段からかなりスペイン語に対してアンテナを張ってますが、その影響から日本語にも常に疑問を持つようになりました。

先日も仕事でメールを見ている際にふと疑問が。
「いただく」や「いたす」は漢字で書くのかひらがなで書くのか?
実際に届くメールでは「送っていただく」もあれば「送って頂く」もあるし、「お願いいたします」も「お願い致します」もあり、結局どっちなのかと。みなさんは正しく使い分けられていますか?

調べてみると、「いただく」は「食べる・飲む・もらう」の謙譲語の場合は漢字で表記し、「ご覧いただく」「お越しいただく」などの補助動詞の場合はひらがなで書き、「いたす」は、「私の不徳の致すところ」や「準備はこちらで致します」のような「する」の謙譲語の場合は漢字表記で、「失礼いたしました」といったように補助動詞の場合はひらがな表記とするルールがあるそうです。

ぼくは以前は「宜しくお願い致します」と書いてましたが、実は「よろしく」もひらがな表記が正しいそうなので、本来は「よろしくお願いいたします」と書くべきだそうです。日本語もムズカシイですね。。。

 

【きっかけ】

気が付けば、メキシコで働き始めて1年が過ぎてました。
学生時代は でしか話したことがなかったので、意識してても tuteo が出てしまい。。。働き始めた頃は usted で話すのに結構苦労しました。

仕事上でスペイン語でのビジネスメールの書き方を教えてもらい、普段使わない言い方をたくさん習いました。今回は、今までに数千近くのネイティヴのメールを見てきた中で得たよく使われるスペイン語の表現を紹介します。

 

【ビジネスメール表現】

Espero (que) se encuentre muy bien.

スペイン語ビジネスメールの書き出しの常套句です。そういう意味では日本語の「お世話になっております」に対応しているんじゃないかと思っています。

学生時代に辞書で rogar の項目に「Rogamos disculpen esta interrupción. 中断して申し訳ございません(小学館西和中辞典[第2版] rogar)」のように que が省略されることもあるということを見て、そういう風にも言えるんだなとなんとなく頭に入れておいた言い方ですが、メールではかなり目にします。アリナシの割合は感覚的には五分五分くらいかと。

一方、最後の部分はほぼ100%の確率で "muy" bien とされています。おそらく何千というメールを見てきましたが muy が付いてない "... se encuentre bien" という形を見た記憶はないです。そのくらい muy bien とするのが慣習となっているんだと思います。


Con gusto le saludo.
Un gusto saludarle.

訳すと「喜んであなたに挨拶します」とかでしょうか。
意味的には「お世話になります/なっております」に近いんじゃないでしょうか。
どちらかというと、頻繁に連絡を取り合っている人ではなく、初めて連絡するときや久しぶりに連絡する際に用いられる傾向がある表現です。


A quien corresponda.

メールを送る相手が明確にわからないまま会社や組織に連絡する場合に用いられ、日本語の「ご担当者様」に当たります。
対応してくれる相手が不明なため、corresponder が接続法となることに注意です。


Le escribe 〇〇 de △△.

"Le escribe (自分の名前) de (会社の名前)" です。つまり、「△△会社の〇〇でございます。」
知らないと思い浮かばない書き方じゃないでしょうか?
電話を掛ける時も "Habla 〇〇(自分の名前)" のように言いますが、メールの時も同じような言い方をします。主語は話し手である自分ですが、yo ではなく自分の名前を述べているので文法上は三人称扱いとなり、escribehabla のように活用します。


Solicito su amable apoyo para...

日本語に訳出するのが難しいですが、このように amable が使われることが多々あります。これも知ってないとなかなか amable を入れようとはならないんじゃないでしょうか?
色んな単語に付いて、丁寧さや敬意を示します。
他にも "Gracias por su amable atención." や "Agradezco su amable comprensión." のように使われているのをよく目にします。


Le solicito de la manera más atenta...

この文の場合、日本語に訳出すると「丁重に(お願い申し上げます)」とかでしょうか。
この表現を入れることで丁寧さがぐっと上がります。


Le agradecería mucho si me pudiera confirmar de recibido.

「〜していただけると幸いです」に対応します。
mucho の後に si もしくは que が続きますが、"Le agradecería nos apoye..." のようにこれまた que が省略されることもあります。
また、多くの場合が過去未来形 (agradecería) ですが、"agradezco me pueda apoyar para..." や "Le agradezco nos pueda confirmar..." のように現在形もたまに使われているのを見ます。


por este medio
por la presente

ともに「本メールにて」を意味します。
前者の medio を「手段」と取るなら「この(連絡)手段にて」となり、「環境」と取れば「この場にて」と捉えることができ、どちらで解釈しても「このメールにて」という意味になりますね。
一方、後者の presente は女性名詞としては主に公用文にて「本状」という意味で使用されるそうです。知りませんでした!ビジネスメールということでフォーマルなこの言い方も使われています。


mi compañero/a 〇〇

「弊社の〇〇(同僚の名前)」という際は mi compañero 〇〇 または mi compañera 〇〇 のように言います。メールでも電話の場合でも、基本的に mi compañero/a という文言を名前の前に付けます。
また主にメールにおいては、日本式とは真逆で、自分の同僚であっても Sr. (señor) か Srta. (señorita) という敬称を付けることが多いです。


Quedo al pendiente de sus comentarios.

スペイン人の友だちに "Esataré pendiente de mi móvil por lo que te puedes poner en contacto conmigo cuando quieras." のように言われたのがぼくの pendiente の初の実用例でした。

しかし、メキシコでは al pendiente となっており、「al が付くんや」と思って西和辞書を引いたものの載っていませんでした。
なんででしょうか?こういう状況に出くわすと、メキシコに来て染みついた習慣である「メキシコ(もしくはラテンアメリカ)の言い方だから」という理由がまず頭に思い浮かびました。もしかして何か載ってないかなと思いながら Diccionario panhispánico de dudas を見てみるとビンゴ!欲しかった情報がありました ↓

メキシコでは pendiente は 'preocupación o inquietud' もしくは 'asunto del que debe uno encargarse' という意味の男性名詞としても使用される
Tengo que ir al despacho a resolver unos pendientes muy importantes≫ (Alatriste Vivir [Méx. 1985])
そこからメキシコのスペイン語では al pendiente という熟語が生まれ、'con la atención, el cuidado o el interés puesto en algo' を意味し、他のラテンアメリカの国でも使用されている
Ojalá el arbitraje no sea manipulado, vamos a estar muy al pendiente de ello≫ (Proceso [Méx.]15.9.96)
例文内の al pendiente は形容詞 pendiente と交換可能であり、後者の方が一般的に使用されている(pendiente. 2. al pendiente.)

pendiente を名詞で用いた al pendiente という熟語はメキシコ特有の表現らしいですね。ぼくの経験上では、メキシコでは99%が al pendiente という形で用いられています。

そして、この "Quedo al pendiente" はメールの最後に登場します。ネイティヴが実際に使った表現をそのまま拝借すると、、、

Quedo al pendiente de cualquier comentario.
Quedo al pendiente de su confirmacion sobre este correo.

「(コメント、確認、返信などを)お待ちしております」という意味です。
ちなみに、ビジネスメールでは99%以上の確率で動詞 quedar が使われています。メキシコ人の友だちに聞くと estar ではなく quedar を使うことでフォーマルさが出るそうです。
おそらく今までに数千というメールを見てきましたが、al pendiente に動詞 estar が使われているのは一回しか見たことないです!そのくらい quedar + al pendiente がメキシコのビジネスシーンでは定着しているようです。


Quedo atento/a a sus comentarios.

上の表現と同じような意味で、実用例はこちら ↓

Quedaré atento a cualquier comentario o pregunta.
Estaré atenta a las pruebas psicométricas.
Quedo muy atenta de sus comentarios.
Quedo atento para cualquier pregunta o aclaración.

quedo al pendiente と同じくらいこの表現も使われています。
気になるのは atento/a に後続する前置詞。最も多いのは a で使用率は80%くらいだと思います。辞書にもこの前置詞が載っていますが、上の実例のように de para が使われていることもあります。

al pendiente と同様の理由で atento/a の場合もメールでは99%が動詞は quedar となっています。


Quedo en espera de sus comentarios.

上二つは厳密に言うと「(あなたからの返信などに対して)注意を払っています」という意味で、日本語に訳すなら「お待ちしております」でいいかなと思ったのでそのように書きましたが、この表現は見てわかる通りそのまま純粋に「お待ちしております」という意味です。
実用例は次のものです ↓

Quedo en espera de su respuesta.
Quedo en espera de tus comentarios.
Quedo en espera de la firma de contrato.

"En espera de su amable respuesta." のように動詞なしの場合も見られます。

この en espera de は定冠詞が付きませんが、定冠詞が付く a la espera de という形もぼくはあまり使われているのを見たことありませんが存在します。
混合して *en la espera de のように定冠詞を入れないように注意です。


Quedo a sus órdenes.

お店やタクシーなどでも "A sus ordenes." と言っているのをよく耳にしますよね。
メールではやはり動詞 quedar が付いて、日本語の「何なりとお申し付けください」に対応する表現となります。

Quedo a sus órdenes para cualquier duda o aclaración.
Me pongo a sus ordenes agradeciendo su atención.
Estoy a la orden.

また、あまり見ないけど "Quedo a su servicio" というのもありました。


Sin otro particular por el momento
Sin más por el momento

辞書で調べたら particular は男性名詞で「問題、事柄」という意味があり、"sin otro particular" で「まずは要件のみ」という和訳が載ってました。つまり、「取り急ぎ」みたいな感じでしょうか?
ただ、ほとんどの場合 por el momento が付いていることからも分かる通り、「今のところは以上になります」という意味です。

 

【まとめ】

今後、スペイン語圏で働く人がいれば、ぜひ参考にしてください :)